NTT労組の「新三か年計画」受け入れを糾弾する。

 

NTT労組は、8月30日の全国大会で、組合員大多数の反対の声を押し切ってNTTが提案した「十万人リストラ攻撃」の受け入れを決定しました。

 51才退職・再雇用・賃金の3割カット・労働条件の大幅切り下げを容認し組合員に大きな犠牲を強制させるこの決定は、労働組合として許されないことです。

 そして今回のNTTリストラ攻撃の受け入れは、NTT労働者の犠牲に止まらず労働者全体への犠牲の呼び水になることを明らかにして置かなければなりません。

 

十万人リストラ攻撃は、小泉構造改革攻撃だ。

 

私達は、「NTT十万人リストラ攻撃」が、小泉内閣の「痛みを伴う、聖域無き構造改革」そのもので政府の後ろ盾により強力に進められて来ている事を明らかにしてきました。

 昨年11月に出された「与党第二次NTT改革プロジェクトチーム報告」は、IT時代の到来の中で

(1)新たな競争政策の展開による電気通信市場構造の改革(NTT、電力会社、自治体等の設備であるケーブル、電柱、管路等国民共有財産の開放。公正競争促進の観点からの徹底した規制緩和)

(2)NTTの経営構造の改革(NTT東西の高コスト構造の是正。NTT株式資産の有効活用し健全経営基盤の確立。独占的な地域網の徹底した開放とグループ内相互競争の実現。NTT東西の新たな経営ビジョンの策定)

(3)第二次NTT改革推進の為に国が講ずるべき措置(ユニバーサルサービス基金の創設・デジタルデバイド解消。基礎研究開発体制の公的支援と国としての体制確立。国の安全確保「国防」とNTT外資規制の検討)

(4)NTTの中長期的な経営の在り方(NTTの完全民営化、NTT法の廃止。NTT株売却益の活用)

 

NTT十万人リストラ攻撃は、まさに政府与党の要請に応えて、電話系のユニバーサルサービスの切り捨て、中高年労働者の切り捨て攻撃なのです。

 小泉内閣は、経済改革の為の「骨太方針」を発表しましたが、その中軸に据えられているIT戦略や「与党NTT改革PT報告」が、いま米国から始まった急激なITバブル崩壊の中で成立そのものが問われて来ています。

 

 

NTT十万人リストラは、理不尽、不正義、脱法行為だ

 

NTTは「新3ヵ年計画」は、経営の赤字転落の危機を乗り切る唯一の道であると言い、NTT労組幹部は「構造改革は避けられない、雇用確保の為には真正面から受けてたつ」として、この理不尽な攻撃と受け入れをそれぞれ正当化しています。

 小泉内閣の構造改革とは、グローバリゼーション、大競争の新自由主義の「競争こそ全て、強者が生き残る、弱者に痛みを押し付ける」ものです。

「新3ヶ年計画」はNTT版、聖域無き構造改革として法的にも許されない内容で出されています。

 

 第一に、事業のアウトソーシング化の問題です。

過去のTE(現ME)事業化、ファシリティーズ事業化と今回の事業化が全く同一の事業分割で有るにも係わらず、NTTは「分割では無い」と主張します。

 会社分割については、昨年5月の第147国会で「商法」一部改正法案で付帯決議され「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(労働契約承継法)」が本年4月から適用されました。

更に分割手続きとして、分割計画書の策定と、株主総会での特別決議の義務づけ等、経営側のやりたい放題に対する一定の規制がかけられたのです。

NTTは、こうした分割法制をすり抜け「アウトソーシング」なるやり方を持ってフリーハンドで事業分割と労働者犠牲を行おうと言うのです。

天下のNTTが、法律の脱法行為を公然と行い、NTT労働組合が承認を与えると言うことは、法制化や、国会審議が何の意味も持たず、法治体制への否定であり社会への挑戦と言わなければなりません。

 NTTのこの方式が実行されれば、日本の全産業に拡大し法無視の経営が横行し、労働法制は意味を持たなくなるでしょう。

NTT労組は、自分たちの利害は当然ながら、全労働者に犠牲が拡大していくことの問題が含まれていることを認識しなければなりません。

 

 第二は、アウトソーシング会社設立の問題です。

アウトソーシング会社に再雇用する事が、退職の前提としていますが、アウトソーシング会社は、未だに設立されておらず、会社としての実態は全くの未知数であり、現在のITバブル崩壊の中で、将来とも会社が存続する保証は全くありません。

にも係わらず、第三者であるNTTが、労働条件のみを事前に決定し、あたかも雇用と労働条件が保証されるが如き説明は、法的な根拠を欠き、中高年労働者を切り捨てる為のごまかしとしか言えません。

 

 第三に、51才退職と、勤務地の定めの無い雇用契約の問題です。

NTTには、60才定年制度が存在するにも係わらず「50才以上が企業年金受給資格」「60才以降も公的年金受給まで雇用」の名の下に退職を強制しようとしています。

年齢による労働契約の破棄、切り下げは、みちのく銀行を始め多くの判例で違法と判定され、日本政府も批准するILOの「高齢労働者に関する勧告」でも明確に否定されています。

社会全体が、65才雇用まで延長し政府も「高齢者雇用奨励金制度」等での高齢者雇用対策を実施している流れに逆行するものです。

 勤務地を定めず、全国配転を強制するやり方は、憲法で保障する生活権を否定するばかりか、数多くの判例、労働委員会決定でも許されていないのです。

NTTは「いやなら地域定着のアウトソーシング会社へ」と代替案を示していると責任逃れをしていますが、こんな事は許されません。

 

第四に、設立しようとしているアウトソーシング会社やME系子会社は、現在のNTT体制より、更にコスト削減を図ろうとするものです。

 NTTの業務委託、業容拡大で発足したME会社の経営を見るまでもなく、新会社では、賃金の3割カットで再雇用された労働者の労務費削減のみでは早晩経営が成り立たず、更なるコスト削減に走らざるを得ません。

「地場賃金」並の切り下げと、サービス切り捨てが不可欠になり、NTT法で定められたユニバーサルサービス提供を否定し、地域料金格差、サービス格差が確実とならざるを得ないのです。

51才での退職、再雇用は、有スキルの労働者、とりわけ電話系を支える中高年労働者を必要な業務から切り離す事となり、業務運営に支障が出てサービス維持が困難になることは必然で、利用者への影響は計り知れません。

 コスト削減の徹底は、通信の秘密保持、災害時通信確保、全ての通信サービスからの排除禁止等の公共性を放棄する事なのです。

 

小泉改革NO−「NTT10万人リストラ反対」−白紙撤回を要求する。

 

小泉構造改革の「創造的破壊を通じて産業活力の再生をはかる」とは、これまでの社会構造を、弱肉強食、競争こそ全ての社会に「改革」する事に他なりません。

その為には、世界からもアジアから孤立しようと構わない。

株価が下がり、不況が継続しようが、失業が増大しようが構わないと言う事です。

従って、その一環としてのNTT10万人リストラ攻撃についても、単に雇用確保、労働条件確保を要求する闘いではなく、攻撃にトータルに反撃する事でしか勝利はありえません。

 私達は、NTT10万人リストラ攻撃がもたらす「破壊」に対して、労働者は基より、利用者、地域、市民等、あらゆる分野で、それと対決しようとする全ての人々と共に、「NTT新3ヵ年計画」の白紙撤回を要求します。

 私達は「赤字転落の危機」の経営責任と持ち株方式の経営構造の問題を追及し、その犠牲を労働者にのみ押し付ける事を拒否します。

 労働者の反撃、労働組合の反撃は、今こそ社会的正義の闘いなのです。

小泉改革、新自由主義の先駆けの80年代、サッチャーは、労働組合の解体と福祉切り捨てから始まった事を認識しなければなりません。

 

私達は、電通労組全国協議会は基より、NTT内の全ての闘う仲間と、NTT10万人リストラ白紙撤回の一点で、共同の闘いを始めました。

理不尽なNTT10万人リストラ攻撃には、白紙撤回しかないのです。闘う事こそが労働者の権利を守ることです。

労働組合の「姿勢」「闘い」が会社の攻撃を跳ね返す唯一の道です。

既に、全労協、全労連を始め、労働弁護団等を含め、多くの組織と、運動が、社会的な問題として、国鉄の分割民営化攻撃に匹敵する攻撃として、NTTを全国的に包囲する共闘組織の結成を始めています。

NTT合理化を受け入れ、賃金切り下げ分の補填要求に、矮小化し労働者の利害に背を向けたNTT労組から今こそ決別し、「違法性、脱法性、社会的不正義」のNTT新3ヵ年計画の白紙撤回を共に闘いましょう。