安倍政権による労働法制の規制緩和に反対する闘いを!
 
近藤昭雄さんを講師に招き3.27講演集会を開催 (宮城全労協)


 宮城全労協は、中央大学法学部名誉教授の近藤昭雄さんを講師に招き、「アベノミクスと非正規労働法制」と題すると講演集会を開催しました。

<企業による収奪強化のための労働法制の構築>

 近藤氏は、「安倍政権が進めている労働政策は、経済政策(アベノミクス)を基礎づける企業による収奪強化のための労働法制の構築」であり、「その展開は、ドラスチックに見えるが、過去との連続でもある。そこから学ぶことが必要。」と切り出しました。
はじめに、非正規労働法制の歴史的展開を丁寧に解説しました。

 戦前の間接雇用の現実について、「直接的雇用」の一方で「●●組」制度による雇用管理が「間接雇用と暴力的支配・二重収奪(ピンハネ)」としてあり、戦後、民主化政策として「労働者供給事業」は禁止されたが、戦前から改正されたのは「暴力的支配」だけでピンハネは全く変わっていないことを指摘しました。

 1950年代後半以降の技術革新のなかで、間接雇用が拡大していったことを示し、50年代後半からの重化学工業分野での「社外工」、60年代後半からの間接労働分野(ビルメンテ、警備業務)の増大、70年〜80年代における事務労働やコンピュータ化における間接雇用(SE、プログラマー等)の拡大のなかで、財界の後押しで、1986年労働者派遣法が施行(16業種)され、戦後禁止されていた「労働者供給事業」が合法化し、1996年には対象業種が26業種に拡大していったこと、90年代後半以降の不況のなかで、規制緩和、間接雇用が一般化していったこと、2003年には、製造業派遣が解禁され、派遣労働の蔓延がリーマンショックの「派遣切り」と民主党政権誕生へと繋がっていたことが話されました。

<派遣の容認は、行政と労働組合の責任>

 派遣労働の特殊性と問題性について、近藤氏は、「派遣という形での労働力の利用は、契約に基づく労働関係という近代的衣をまといつつも、買い入れた労働力=人間を他社に売り渡し、利益を得るという「現代版人身売買」にほかならない。それは「人間の尊厳」を破壊するものであり、「人間」無視の社会関係の形成でもある。」として、絶望的状況を作り出すことになっていることを指摘し、「派遣さん」という呼ばれることに「せめて名前で呼んでほしい。」という派遣労働者の声を紹介しました。

 「派遣の容認は、労働のありようが経済に従属させられてきた結果」であり、このような制度を放置し、容認する労働政策を展開してきた行政(厚生労働省)と労働組合の責任は大きいと指摘しました。

<放置されてきた有期労働とパート労働>

 続いて、「有期労働の歴史的展開と現実」について解説。
 「朝鮮特需」で需要が拡大するなかで 、企業が将来の雇用調整の安易さを狙って、常用型有期雇用「臨時工」が登場、大量に雇用され一般労働者と同様な労働に従事させられ、正規の昇進ルートに乗らない「安価な労働力」、容易な雇用調整=「雇い止め」が定着していったこと、合理化や技術革新のなかで多様な非正規労働者が生み出され、固有の労働と処遇が形成され、「正規と非正規の峻別と制度化」が進んでいったことが語られました。

 2000年代の不況のなかで非正規労働の拡大は、様々な問題の深刻化が進むことにもなり、非正規労働への社会的批判は、ILO、EUにおける有期契約の規制、労働契約法改正へと向かいましたが、「入口規制の放棄」と「出口規制」のなかで、規制不十分なものになっています。

次に、「パートタイム労働の歴史的展開」についての解説がありました。
 パート労働は、安易な労働力、雇用の安全弁(不安定雇用と二重差別)という企業にとっては使いやすい特性であり、それ故「放置」され続けてきたこと、パート労働利用の拡大とともに「パート労働法」が出来たが、労働条件の明示義務(雇い入れ通知書の制度化と就業規則制定)とした「雇用管理の改善」のみであり、均等待遇や苦情の自主解決は、不十分であることを指摘しました。

<正社員制度に手を付け破壊する安倍内閣>

 派遣労働、有期労働、パート労働など非正規労働の歴史的展開を見たあと、近藤氏は、直近の安倍内閣の労働法制について、切り込みました。
 日本には、「解雇を規制する法律がなかった。それを埋めるために判例法として『解雇法理』が形成されてきた。『解雇法理』は、『使用者の解雇自由』を前提としつつ、『権利濫用論』に社会的調整を図ろうとしたもので不十分なもの」と指摘し、「安倍内閣が狙っているのは、『正社員制度への切り込み』=雇用の流動化いわゆる多数の正社員を非正規労働化することである」と竹中の「労働法制の緩和規制ができないのは正社員制度にある。」という発言を紹介してその本質を批判しました。

 第2に、派遣法改正案要綱の問題点を指摘し、派遣労働の利用を3年と限度としつつも、更新による延長が過半数組合の意見聴取条件で可とされ、派遣労働の恒常化を狙ったものと指摘しました。

<人間が尊厳をもって生活、労働できる社会の実現に向けて闘おう!>

 人間が商品化された結果、将来に希望がもてない労働者が拡大し、置き去りにされていることを指摘し、非正規労働者の登場は、第1に、企業の利潤拡大化の目論見の中で生まれたもので、その特性は「安価な労働力としての利用」「不安定な雇用」であり、労働現場におけるそのような「悪」の排除を目指す「反非正規」という正義の闘いが不可避なこと。

 第2に、労働者集団の中に「階層化」を持ち込み、日々の労働生活の中に、相互差別という非人間的行いを日常化させていくもので、職場における平等な働き方、人間関係の実現を求める反非正規という運動が避けて通れないことを訴え、一人ひとりが豊かになって日々の労働に誇りをもって生活できる社会を実現するために、「過去と現在は繋がっている。ここで酷い現実を断ち切り、未来につないでいくために頑張って行こう」と訴えました。

 「経済成長の大きな柱は労働分野の規制緩和」(安倍内閣)というなかで「一生派遣」「使い捨て」の派遣法の改悪、限定正社員の拡大と、正社員制度を狙い撃ちした「ブラック企業」など政府・企業が一体となった労働者攻撃が進んでいます。

 格差・貧困を許さず、労働者の働く権利・生きる権利を守るために労働法制の大改悪をくい止めるために、宮城全労協は、この講演を受けて、労働法制の規制緩和に反対するための労働組合を横断するプロジェクトを立ち上げて闘うことを確認しました。電通労組宮城支部もこれに参加し、安倍政権による労働法制の規制緩和に反対する闘いを全力で展開していきます。(宮城支部)


    写真  140328消費増税ヤメロ!  中小・下請け・非正規に賃上げを! 経団連包囲行動
 
     140328 消費増税ヤメロ!  中小・下請け・非正規に賃上げを! 経団連包囲行動    



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