<相互監視・密告社会をつくる!> 重要土地等調査法案を廃案へ


コロナ禍で国民が苦しんでいるなか、菅政権はドサクサに紛れ、とんでもない法案を成立させようとしています。正式名は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」という長ったらしい名前の法案です。

名前から何のための法案なのか判りにくいのですが、安全保障の観点から「重要施設、基地機能を阻害する土地等の利用を防止」が目的です。自衛隊、米軍、原発等の基地や重要施設の周囲1キロ以内の土地、国境離島を「注視区域」に「国」が「告示で個別」に指定し、土地・建物の利用状況を政府が調査するとしています。政府は、個人情報や利用状況を登記簿や住民基本台帳を基に調査し所有者には報告(罰則担保)を求め、必要とあれば利用中止を命令できるというものです。

特に重要性が高い基地や国境離島などは「特別注視区域」として一定面積以上の土地取引時に個人情報、利用目的等の事前届け出を義務づけるとともに「中止命令」に応じなければ「懲役刑」「罰金刑」で「処罰」するというものです。しかも、「機能を阻害する行為」については政府の裁量で決めると言うとんでもない中味です。

この法案の大きな狙いは、沖縄の辺野古基地建設反対闘争や、本土の米軍基地監視やミサイル基地建設反対の住民運動、そして反原発運動等も規制の対象になるという事です。

菅政権の「壊憲」策動を止めよう!

この法案名には「及び」「等」が数多く入っています。これは、いくらでも法の拡大解釈が可能と言う「ザル法」「悪法」の典型です。政府は、戦後一貫して禁じて来た「集団的自衛権」を「解釈変更」によって「行使容認」に変え「戦争法」を強行成立させてきました。今度は国民に「相互監視」(スパイ行為)を強要し「人権」「平和」「国民主権」という憲法の柱を破壊しようとしています。

法案の「重要インフラ」は「政令で定める」とし権力の思惑でどのようにでも決められます。また、「その他関係者」として、友人知人を始め近隣の人などに聞き取り調査を行い、思想信条、所属団体、交友関係、趣味や家族関係等々、際限無く個人情報を収集します。法案第8条では「関係者」にも情報提供を義務づけ違反者には罰金も科すとしています。

こうの史代さん原作の「この世界の片隅に」のアニメ、ドラマ等を見た方もいると思います。戦時下の厳しい息苦しい日常が描かれ、高台から呉の港町の絵を描いていた「すずさん」が憲兵に見つかり連行されるシーン。戦時中の「要塞地帯法」<要塞を中心に一定距離内を要塞地帯と指定><要塞法7条「要塞地帯内水陸の形状を測量、撮影、模写、録音することを禁ず」>。何と、法案は戦時中と同じ中味なのだ!私たちは、二度とあの時代に還ってはなりません!みんなの声で法案の撤回と廃案へ追い込もう!